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 パソコンやワープロソフトの普及によって、一般の人が文章を電子データとして作成し取り扱う機会が、一昔二昔前に比べると格段に多くなりました。それどころかすでに〈デジタルネイティブ〉と呼ばれる若い世代も登場し、生まれたときからICTに親しんで育ってきた人たちも少なくありません。しかしながら(むしろ、だからこそ)文章や文字をデジタルデータとして取り扱う際のかなり重大な間違いが間違いとも認識されず、誤った慣例として通用してしまっている現状があります。
 
 弊社ではご要望に応じて原稿整理を行い、組版作業をして教科書などを制作することも可能ですが、もちろんそれには相応のコストがかかります。先生方が作成した原稿をそのまま完全版下として出版するということを比較的中心的な業務として承っておりますが、その原稿のクォリティが向上すれば出版物の水準も大きく向上します。正しい校正の方法は別ページの「校正記号表」をご参照いただくとして、ここではまずそれ以前にいかに質の高い原稿を作成するかについてご説明させていただきます。
 
 どんなに素晴らしい研究内容であっても、それを発表する際の体裁次第では、受け取る側の印象が大きく変わってしまいます。プレゼンテーション用のソフトを駆使して図表資料をふんだんに取り入れた発表をしていらっしゃる方も多いでしょうが、本づくりというものはそうした外連味あふれる凝った見せ方とは根本的に発想を異にするものです。ご著書をよりよい仕上がりとするための大切な決まりを、執筆の上での〈スタイルガイド〉としてぜひご活用ください。
 
 

 1 和文は全角文字を、欧文および算用数字は半角文字を用いる

 
 私たち日本人が通常使っている言語は日本語です。したがって教科書を制作するとなれば、多くの場合日本語で執筆することになります。つまりその場合本文のほとんどを構成するのは和文です。和文を書くときには、原則としてすべて全角文字を使用しなければなりません。漢字、ひらがな、カタカナのみならず、句読点やカッコ類や記号なども全角文字を使用するというのが大前提の決まりです。
 
 インターネット上には半角カナで記された日本語の文章が見られることもありますが、それは少なくとも組版を行い公に出版する日本語の文章としては正しくありません。ケータイサイトは利用者のパケット代の節約を考慮してわざわざカナ部分を半角にしていますが、それはそうした理由があってのことです。
 
 和文が中心となる本であっても、欧文を挿入する必要に迫られる場合はしばしばあることでしょう。研究論文など学術的なものであればなおさら、参考文献の一覧記載や引用などで和文と欧文とが混淆した内容になることが必至です。欧文を書くときには、原則としてすべて半角文字を使用しなければなりません。句読点 (punctuation: periods, commas, colons and semicolons) もカッコ類 (parentheses) も半角文字を使用します。またpunctuationの後には必ず半角のスペースを入れます。parenthesesは半角のスペースを空けてから用い、閉じた後にも半角のスペースを入れます。
 
 欧文を挿入せずとも、数字を使う必要は大変多いことでしょう。原則として本文が縦書きの場合には数字は漢数字を、横書きの場合には算用数字を用いるというのも重要な決まりの一つです。そして、算用数字もまた半角文字を使用します。
 

 2 わかりやすい文章・読みやすい文章を書くよう心がける

 
 内容自体がいかに学術的であろうとも、それをわかりやすい文章で書くということが大切です。わかりやすい文章を書くためには、まずは一文をできるだけ簡潔に短く書くよう留意してみてください。書きながら勢い余って一文を長々と続けてしまいがちなこともあるでしょうが、書き上がった文をよく見直して、どこかで分けられないか再考する余裕を持つようにしましょう。段落についても同様で、一段落が長大になってしまった場合は改行のポイントを見直してみてください。
 
 また、読みやすい文章を書くためには、むやみに漢字を使わないということが肝要です。内容が学術的であればあるほど文章中に漢熟語が登場する頻度もおのずと高くなってきますから、それ以外の部分に漢字を用いるのはできるだけ避けたほうが目にもやさしく読みやすい仕上がりとなります。
 
 たとえば接続詞、副詞、助動詞、補助動詞、代名詞、接頭語および接尾語などは、漢字にせずにかな書きにしたいところです。

 
有る→ある     或いは→あるいは   如何なる→いかなる   頂く→いただく
一層→いっそう   一旦→いったん    恐らく→おそらく    及び→および
御願い→お願い   嘗て→かつて     極めて→きわめて    決して→けっして
御希望→ご希望   此れ、之→これ    更に→さらに      従って→したがって
即ち→すなわち   全て→すべて     其れ→それ       沢山→たくさん
但し→ただし    例えば→たとえば   多分→たぶん      出来る→できる
共に→ともに    何れ→どれ      無い→ない       初めて→はじめて
又→また      全く→まったく    若しくは→もしくは   故に→ゆえに
という風に→というふうに         という様に→というように

 
 新聞、放送、報道関係者などのプロが文章を書く際の指標として広く浸透しているのが、共同通信社の『記者ハンドブック』です。上記の用字はほとんどが同書でも定められているものです。学術的な内容ではなくとも読みやすい文章を書くための資料として大いに参考となることでしょう。ジャストシステムの校正支援ツール「Just Right!」用の辞書として販売もされています。
 
 用字用語はいわば業界のなかで慣例的に定められてきた側面もありますが、公文書については1952年(昭和27年)4月4日に内閣が発出した通達「公用文作成の要領」においてガイドラインが提示されています。「官庁用語を平易にする」というのがその主要な目的であり21世紀の現状にそぐわない部分も多々ありますが、わかりやすい文章・読みやすい文章を書くための工夫として今日も価値あるものでしょう。参考:文化庁 国語施策情報 国語シリーズ No.21 公用文の書き方資料集
 

 3 記号は正しく用いる

 3.1 混同しやすい記号に注意する
 
 パソコンやワープロソフトの普及によってもたらされた最もよく見られる間違いの一つは、記号類の誤用です。頻繁に見られるのは
 
     「」(漢数字のイチ)
     「」(長音記号)
     「」(全角ハイフンマイナス)
     「」(全角ダッシュ)
 
の混同による誤用です。お使いのパソコンに搭載されている入力メソッドの操作方法をしっかりと確認し、これらの記号類を間違えないように注意しましょう。
 
 一般的に、ローマ字入力の場合キーボードの右上のひらがなの「ほ」のキーをそのまま押して出るのは「」(長音記号)です。これを「」(全角ダッシュ)のつもりで使用している事例が非常に多く見られます。罫線の代わりに使用している事例も見受けられますが、見苦しいことこの上ないものです。ご著書の誌面をよりよいものにするため、正しい入力を心がけてください。
 
 ちなみに、以下は一見するとどれも大変よく似ていますが、すべて異なる記号です。

 
 Hyphen
全角ハイフン。上記の全角ハイフンマイナス (Fullwidth Hyphen‑Minus) とは異なる記号ですが、Windows環境が主流の今日では全角ハイフンの代わりに全角ハイフンマイナスのほうが一般的に用いられています。
 
- Hyphen‑Minus
ハイフンマイナス。一般的なハイフンであり、半角のマイナスでもあります。
 
 Non‑Breaking Hyphen
改行不可のハイフン。複合語などの途中に用い、そこで改行してはならないことを示します。
 
 Minus Sign
全角マイナス。Windowsでは全角ハイフンマイナスが割り当てられています。
 
 En Dash
アルファベットのnの幅のダッシュ。二分ダッシュ。
 
 Em Dash
アルファベットのmの幅のダッシュ。全角ダッシュとは正しくはこれを指します。
 
 Figure Dash
半角数字と同じ幅のダッシュ。
 
 Horizontal Bar
ホリゾンタルバー。その名のとおり水平の棒です。

 
 和文のなかで一般的にダッシュとして用いられているのはホリゾンタルバーです(ATOKで「だっしゅ」と入力し変換して出るのもこれですし、上記で例示した見本もそうです)が、実のところ正確にはダッシュではありません。実際にお使いになるのはホリゾンタルバーで構いませんが、本当の全角ダッシュとは別物なのであるということを、知識としてお知らせしておきます。
 
 また「欧文および算用数字は半角文字を用いる」という原則を遵守していれば、全角ハイフンを使用する場合というものは、一部の専門的な内容の文章を特殊な用字で執筆するのでなければ通常あまり生じないはずです。したがって

 
 ◦「(ダッシュ:ホリゾンタルバー)」のつもりで「(長音記号)」や「(漢数字のイチ)」を用いない。
 ◦英数字は必ず半角で打ち、ハイフンはなるべくならテンキーからマイナスを入力して用いるようにする。

この二点を守るだけでも原稿のクォリティは劇的に向上し見栄えがよくなります。
 

 3.2 カッコ類を使い分ける
 
 カッコ類も正しく使うよう注意したいものです。和文であれば全角で入力するのはもちろんですが(半角のカッコも存在するからです)それぞれのカッコについて役割・意味があります。

 
「  」
 一般には発話および引用を示します。人が発言した内容をそのまま直接話法で記述する際、その発言部分をくくります。ここは他人が言っていることなのだと明示するという意味で、引用箇所をくくる際にも用います。語そのものをなんらかの意図で強調したい場合にも用います。また、学術的な分野では、和文の論文名を記す際にこれでくくるのが慣例です。
 
『  』
 原則的には「  」内にカッコを挿入する必要が生じた際に用います。引用箇所である「  」のなかにさらにカッコが登場する場合には、それをこの二重カギカッコに変えます。また和文の書名や雑誌名は二重カギカッコでくくります。なお欧文の書名や雑誌名は、カッコはつけずにイタリック体にします。お使いのパソコン環境でイタリック体が使えない場合にはアンダーラインを引いてください。
 
(  )
 文章の途中に注釈や補足や付記などを挿入する際に用います。全角の丸カッコの代わりに――(二倍ダッシュ)を用いて挿入箇所の前後を挟んでも構いませんが、その場合必ず二倍で用い、一つだけでは用いません。また和文の途中に欧文の原語で注釈を挿入する場合には丸カッコを用い、二倍ダッシュは用いません。そして、丸カッコでくくった部分が文の終わりにくるときは、閉じカッコの後ろに句点を打ちます。
     正 □□□□(□□□□)。 誤 □□□□。(□□□□)
 
〈  〉
 語に特定の意味合いを持たせていることを暗示したり、ある概念を強調したいときなどに用います。なお、キーボードの「ね」「る」をシフトキーと組み合わせて出るのは<>(不等号)であり山カッコではありません。この混同・誤用も非常に多く見られるものですので注意してください。
 
〔  〕
 引用文のなかに引用者が補足を挿入する際に用います。
 
“  ”
 山カッコによる強調は通常は単語をくくるものですが、より長い語句などなんらかのひとまとまりの強調箇所を示す際に用います。カッコの左右、始まりと終わりとは、よく似ていますが異なる記号です。どちらもたいていはシフトキー+2で出せるものですが、変換の際に間違えないように注意してください。


 3.3 その他の記号について

 
……
 引用箇所において省略を示したり、余韻や余情を表現する際などにこの三点リーダ二倍を用います。これもまたダッシュと同様に二倍で用いるのが通例で、一つだけでは用いません。・(ナカグロ)や.(ピリオド)を複数使って代用している事例が非常に多く見られますが、それらを連打せずにちゃんと記号を入力しましょう。たいていの入力メソッドでは「りーだ」で変換すれば出るはずです。中略を示す際に用いるとき、引用文にすでに三点リーダが含まれている場合には、丸カッコを使って(中略)と記すのがベターです。
 
(あるいは
 全角ハイフンを使用する場合は通常あまり生じないはずだと先述しましたが、用いるとしたら対概念を並記する際に用います。また欧米人の名前を記す際にミドルネームの区切りとして用いることもあります。「搾取‐被搾取」「モーリス・メルロ‐ポンティ」などの例です。後者は原語の名前のなかにハイフンが入っているものを、日本語にする際に全角ハイフンにしたわけですが、今日では全角イコールを用いることが多くなっています。またどちらの使用例も全角ハイフンマイナスで代用するのは許容として構いません。
 

 単語の列挙や、外来語の表記の際に単語間の切れ目を表すものとして使われます。